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五十を過ぎて

先日、国道19号線を南に車を走らせてた時、

ふいに自分の年齢を自覚し、

少年時代から、あぁ、随分遠くまで来ちゃったをだなぁ…等としんみりして、

何十年ぶりに、懐かしい土地を少しだけ探索した。

広いと思っていた道は狭く、馴染みのお店も無くなっていた。

もう住んでいるのかいないのかさえわからない友達の家や、

何処なのかすらわからなくなるほど、記憶から消え失せた街並み等、

それから何日も、物思いに耽るには充分過ぎるほどの衝撃だった。

 

私の古い知り合いの中に、

とても珍しいヤツがいて、

彼は、「自分は少年時代から、ずっと変わらない」ことを信条とし、当時好きだった音楽を今も変わらず聴き、愛し、歌い、

自分を振った同級生を今でも恨み、

未だ自己顕示欲の中にいるという…私はそんな彼を怖く感じ、距離を置いたまま、もう五年も過ぎた。

 

私は彼と正反対なのだろうか⁈

ずいぶんと変わってしまった。

少年時代の自分は恥ずかしいだけで、

数々の思い出など、忘れてしまいたい。

時々振り返り、懐かしく思うことも沢山ある。しかし、懐かしむだけでいいのだ。

人は過去に捉われがちだが、

そこに留まっていては次のドアの向こうには行けない。

私は今を生きていたいのだ。

悪いね、先に行くよ…。

 

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